1. 制度の概要
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が、生産性向上や持続的な賃上げを実現するために行う 革新的な新製品・新サービスの開発 や 海外需要の開拓 を支援する国の補助制度です。
近年、中小企業を取り巻く環境は、相次ぐ制度改正や市場構造の変化などにより大きく変化しています。本制度は、こうした変化に柔軟かつ積極的に対応できる企業づくりを促進し、地域経済の活性化や国全体の経済成長に寄与することを目的としています。
本補助金では、事業計画に基づいて行う設備投資やシステム構築などの経費の一部を補助します。単なる設備導入ではなく、顧客に新たな価値を提供できる取り組み を対象としており、事業の革新性・将来性が重視されます。
また、事業終了後には、付加価値額や賃金の一定水準以上の向上など、経済的成果の達成を求めています。これにより、単発的な支援にとどまらず、中長期的な企業成長と地域経済の発展を後押しします。
本ガイドでは、制度の基礎知識を中心に中立的・網羅的に説明します。内容は、最新の公募要領をベースとしておりますので、情報の鮮度と正確さには自信がございます。
ものづくり補助金の最新の公募の要点のみを知りたい方はこちらへ。
2. 補助対象となる事業者
本補助金の対象となるのは、日本国内に本社および補助事業の実施場所(工場、店舗等)を有し、次のいずれかに該当する事業者です。
※海外への直接投資を行う場合は、日本国内に加えて海外にも実施場所が必要です。
自社の申請可能性を簡易診断したい方はすぐ下のチェックリストをご活用ください。
補助対象者チェックリスト(簡易版)
以下のすべてに当てはまれば申請可能性があります。
- 日本国内に本社および事業実施場所(工場、店舗等)がある
- 業種ごとの資本金または従業員数が中小企業基準内
- 「みなし大企業」に該当しない(例:大企業の子会社で議決権の1/2超を保有されている等)
- 暴力団関係者ではない
- 過去の補助金で不正受給や報告未提出がない
- 申請時点で従業員数が1名以上いる(法人役員を含まない場合あり)
自社の申請可能性をもう少し詳しく検討したい方は本項を最後までお読みください。
主な対象区分
- 中小企業者
製造業、建設業、運輸業など資本金3億円以下・従業員300人以下など、業種ごとに定められた中小企業基本法等の基準を満たす会社または個人事業主。 - 小規模企業者・小規模事業者
製造業などは従業員20人以下、商業・サービス業は従業員5人以下など、小規模企業基本法の基準を満たす事業者。 - 特定事業者の一部
資本金10億円未満かつ従業員数が業種ごとに定められた上限以内の企業や組合等。 - 特定非営利活動法人(NPO法人)
中小企業の振興・発展に寄与する事業を行い、一定の要件(従業員数300人以下、収益事業を行っている等)を満たす法人。 - 社会福祉法人
所轄庁の認可を受け、収益事業を行う法人で、従業員数300人以下などの要件を満たす場合。
業種別の資本金・従業員数の基準(中小企業基本法等による)
業種 | 資本金の上限 | 従業員数の上限 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業、その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ・チューブを除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
医療法人、社会福祉法人、NPO法人等 | ― | 300人以下 |
補足
- 上記基準は、資本金または従業員数のいずれかが基準内であれば中小企業者として認められます。
- 「みなし大企業」に該当する場合は対象外となります。
- 法人格の有無や業種区分の判断は、登記簿や定款、就業規則等に基づきます。
注意点
- みなし大企業(大企業の子会社等)や、暴力団関係者、虚偽申請を行った事業者などは対象外です。
- 直近の特定補助金の採択歴や、事業化状況報告の未提出などにより申請できない場合があります。
- 申請時点で従業員数が0名の事業者は申請できません。
3. 補助金の枠の種類と特徴
本補助金は、事業の目的や取組内容に応じて、次の2つの申請枠が設けられています。
いずれの枠も、単なる設備導入ではなく革新的な新製品・新サービスの開発を伴う取組が対象です。
枠名 | 特徴・目的 |
---|---|
製品・サービス高付加価値化枠 | 自社の技術力等を活かし、顧客に新たな価値を提供する新製品・新サービスの開発を支援します。既存製品・サービスの単なる生産プロセス改善は対象外です。「新製品・新サービス開発」とは、顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして開発を行うことを指します。単に機械装置やシステムを導入するだけで開発を伴わない場合は対象外となります。 |
グローバル枠 | 上記の高付加価値化に加え、海外市場の開拓(輸出)を目的とする取組を支援します。海外展開に必要な設備投資やシステム構築、現地活動費などが対象となります。申請には、海外展開に関する実績や具体的な事業計画など、追加要件の充足が求められます。 |
製品・サービス高付加価値化枠
- 目的:自社の技術力等を活かし、顧客に新たな価値を提供する新製品・新サービスの開発を支援。
- 特徴:既存製品・サービスの単なる生産工程改善は対象外。海外展開を伴わない場合はこちらを選択。
グローバル枠
- 目的:高付加価値化に加え、海外市場の開拓(輸出)を目的とした取組を支援。
- 特徴:海外展開に必要な設備投資やシステム構築、広告宣伝、通訳、海外渡航費等も対象。
- 追加要件(第21次):補助対象経費の50%以上が海外拠点や海外事業に関する支出であること。申請時には海外市場に関する調査資料等の提出、実績報告時には性能評価報告書等の証拠資料提出が必要。
枠選びのポイント
- 国内市場での新価値創出を目指す場合は「製品・サービス高付加価値化枠」
- 海外市場進出・輸出拡大を伴う場合は「グローバル枠」
- グローバル枠は加点要素がある反面、要件や成果目標が高く設定される傾向があります。
4. 補助対象経費と補助額
補助対象となる経費
本補助金で対象となる経費は、事業計画に基づき、革新的な新製品・新サービスの開発に直接必要なものに限られます。代表的な経費は以下のとおりです。
経費区分 | 主な内容 |
---|---|
機械装置・システム構築費 | 製造設備、加工機械、検査装置、専用ソフトウェア、業務システム等の導入・構築費用 |
技術導入費 | 外部からの技術購入、ライセンス料等 |
専門家経費 | 専門家(大学教授、技術士、中小企業診断士等)への指導・助言謝金、旅費 |
運搬費 | 機械や設備の搬入・据付に伴う輸送費 |
クラウドサービス利用費 | 本事業のために利用するクラウド環境やWEBプラットフォーム費用 |
原材料費 | 試作品や試作部品の製作に必要な材料費 |
外注費 | 試作品製作や検証に必要な外部委託費用 |
海外関連経費(グローバル枠のみ) | 海外渡航費、通訳費、現地広告宣伝費、海外展示会出展費等 |
※ 補助対象外経費(汎用的な事務用品、通常の営業活動費、土地・建物取得費など)は支援対象になりません。
補助対象外となる経費(簡易版)
以下の経費は、補助対象になりません。申請時や事業実施時には計上しないよう注意してください。
区分 | 主な内容 |
---|---|
汎用的な備品・消耗品 | 机・椅子・棚・事務用品・パソコン(事務用)など、業務全般で利用する汎用品 |
日常的経費 | 光熱水費、通信費、家賃、リース料(補助事業専用でないもの) |
人件費 | 役員報酬、従業員の通常給与、アルバイト代(補助事業に直接従事しないもの) |
土地・建物関連 | 土地・建物の購入費、増改築費、補助事業終了後に撤去できない恒久的施設の設置費 |
車両関連 | 自動車・トラック等の購入費(必要不可欠な特殊車両を除く) |
汎用ソフトウェア | ワープロ・表計算等の事務用ソフト、メールサービス契約料 |
税金・公租公課 | 消費税、印紙税、保険料など |
その他 | 補助事業の遂行に直接関係のない交際費、接待費、寄附金 など |
注意
- 補助対象経費として認められるかどうかは、事業との直接的関連性と交付決定後の発注・契約・支出が条件です。
- 計上可否が不明な場合は、事前に事務局に確認することが推奨されます。
補助額と補助率
補助額・補助率は、申請枠や事業規模によって異なります。
申請枠 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
製品・サービス高付加価値化枠 | 750万円〜1,250万円 | 中小企業:1/2以内 小規模事業者:2/3以内 |
グローバル枠 | 3,000万円 | 中小企業・小規模事業者:1/2以内 |
注意点
- 補助対象経費は原則、交付決定日以降に発注・契約・支払を行ったものが対象です。
- 補助金額は交付決定額を上限とし、実際の支出額に応じて精算されます。
- グローバル枠では補助対象経費の50%以上が海外事業関連経費である必要があります。
特例措置と返還義務
大幅な賃上げ特例
事業終了後3〜5年以内に、事業場内最低賃金を年度平均で3%以上または4.5%以上引き上げることを計画し、かつ実施した場合、従業員規模に応じて補助上限額が引き上げられます。
- 加算額は100万円〜1,000万円(従業員規模と賃上げ率により異なる)
- 賃上げ率が高いほど加算額が大きくなります
最低賃金引上げ特例
申請時点で事業場内最低賃金が、地域別最低賃金より30円以上高い場合、補助率が引き上げられます。
- 中小企業者:最大2/3
- 小規模事業者:最大2/3(通常は2/3、条件を満たす場合は維持)
※対象業種・事業者規模等の条件あり
目標未達時の補助金返還義務
補助事業終了後、事業計画に記載した付加価値額や賃金引上げ目標を達成できなかった場合、達成状況に応じて補助金の一部または全部の返還を求められることがあります。
- 達成率が低いほど返還割合が高くなります
- 故意または重大な過失による不達の場合は全額返還の可能性もあります
5. 公募スケジュール
ものづくり補助金は、年間を通じて複数回の公募が行われる継続的な補助制度です。
近年は1年間に4〜5回程度の公募が実施されており、各回で申請受付から採択発表、事業実施、実績報告までの流れが定められています。
なお、最新のスケジュールを知りたい方はこちらへ
主なイベント
- 公募開始
年数回、事務局ホームページで公募要領とともに募集が開始されます。例年4月頃にその年最初の公募が始まります。 - 申請受付期間
公募開始からおおむね1〜2か月間が申請受付期間です。電子申請(jGrants)が原則です。 - 審査・採択発表
申請締切から1〜2か月後に、採択事業者が公表されます。 - 交付申請・事業開始
採択発表後、原則2か月以内に交付申請を行い、承認後に事業を開始します。 - 事業実施期間
交付決定からおおむね6〜10か月間が実施期間です。年度をまたぐ場合もあります。 - 実績報告・補助金請求
事業完了後、実績報告を提出し、確定検査を経て補助金が支払われます。
過去の実施回数(参考)
- 制度開始以来、20回以上の公募が行われており、事業者のニーズや政策動向に応じて募集枠や要件が改定されてきました。
- 直近数年間は年4〜5回のペースで募集が実施されています。
6. 申請要件
ものづくり補助金は、一定の条件を満たす中小企業・小規模事業者が申請できます。
以下では、主な要件と事業計画書作成のポイントをまとめます。
主な申請要件
- 対象者
- 中小企業基本法に定める中小企業・小規模事業者
(業種・資本金・従業員数の基準あり) - 申請時点で日本国内に本社・事業所を有すること
- 中小企業基本法に定める中小企業・小規模事業者
- 事業要件
- 革新的な新製品・新サービスの開発、または生産プロセスの改善を伴うこと
- 3〜5年後に付加価値額年率3%以上増加および給与支給総額年率1.5%以上増加を達成する計画であること
- 補助事業終了後も継続して事業を実施できる体制があること
- 経費要件
- 補助対象経費は、交付決定日以降の発注・契約・支払に限られる
- 補助対象経費の内訳が要件に合致していること(例:機械装置費、システム構築費、原材料費 等)
- グローバル枠の場合は補助対象経費の50%以上が海外事業関連であること
- 加点・特例
- 大幅な賃上げや最低賃金引上げ等を計画・実施する場合、補助上限や補助率の特例を受けられる場合あり
- 計画未達成時は補助金返還義務が生じる可能性あり
事業計画書作成のポイント
- 革新性を明確に
単なる設備更新や効率化ではなく、何が「新しい」のか、なぜ市場で競争優位になるのかを具体的に説明します。 - 実現可能性の裏付け
必要な人材・技術・資金が揃っていること、スケジュールが現実的であることを示す。外部連携や過去の実績も有効。 - 数値目標と根拠
売上・付加価値額・雇用増などの数値目標は、必ず根拠(市場調査、試算方法)とセットで提示します。 - 社会的波及効果
地域経済や環境への貢献、業界への波及効果を盛り込み、事業の意義を強調します。 - 審査基準を意識
公募要領に記載されている「審査項目」をすべてカバーし、漏れがないよう章立て・見出しを工夫します。
ヒント
事業計画書は単に要件を満たすだけでなく、「審査員にとって読みやすく、根拠が明確な内容」に仕上げることが採択率向上のカギです。
審査項目チェックリスト
以下の項目は、審査員が申請書を評価する際の視点です。
事業計画書を作成する前に、すべての項目に✓が入るか確認しましょう。
1. 革新性・新規性
- 新製品・新サービスの内容が明確で、従来品との差別化ポイントが示されている
- 業界・市場にとって新規性がある(模倣困難性や独自技術がある)
- 顧客に提供する新たな価値が具体的に説明されている
2. 実現可能性
- 必要な人材・技術・設備が確保されている
- 実施スケジュールが現実的かつ具体的である
- 想定されるリスクと対策が明記されている
- 資金調達計画が明確で、自己負担分も確保できる見込みがある
3. 事業効果
- 売上高や付加価値額などの目標が具体的な数値で設定されている
- 数値目標の根拠(市場調査や試算方法)が提示されている
- 3〜5年後に付加価値額年率3%以上増加、給与総額年率1.5%以上増加の計画を満たしている
4. 社会的波及効果
- 地域経済や地域雇用への貢献がある
- 環境負荷低減やSDGsへの寄与がある
- 他事業者や異業種との連携による波及効果が見込まれる
5. 加点要素
- 大幅な賃上げや最低賃金引上げを計画している
- グローバル展開(輸出や海外事業)が具体的に盛り込まれている
- 成長性や持続可能性に関する明確なビジョンがある
使い方
✓がつかない項目がある場合は、その部分を事業計画書で補強しましょう。
特に「革新性」「実現可能性」「事業効果」の3つは審査で比重が大きく、他項目にも波及します。
7. 申請の流れ
ものづくり補助金の申請は、原則、電子申請システム(jGrants)を通じて行います。
事前準備から採択後の手続きまでの一般的な流れは以下の通りです。
1. 事前準備
- gBizIDプライムアカウントの取得(電子申請に必須)
発行には2〜3週間かかる場合があるため、早めの取得を推奨します。 - 公募要領・申請様式の入手
最新版を公式サイトからダウンロードして確認します。
2. 申請書類の作成
事業計画書など必要書類を準備し、申請様式に沿って入力します。
申請内容は、要件や審査項目に沿って作成することが重要です。
必要書類(申請時)
- 事業計画書(申請様式に沿った記載)
- 補助事業経費明細書
- 会社概要書(法人登記簿謄本や会社案内等)
- 決算書類(直近2期分の貸借対照表・損益計算書)
- 各種証明書類(賃上げ計画や海外展開に関するエビデンス)
- gBizIDプライムアカウント情報
※枠や特例措置によって、追加書類(市場調査報告書、性能評価報告書等)が必要になる場合があります。
ポイント
申請書類は内容の正確性に加え、「読みやすさ」も審査での印象を左右します。章立てや図表を活用して、事業内容や効果が明確に伝わるよう工夫しましょう。
3. 電子申請(jGrants)
- jGrantsにログインし、申請フォームへ必要情報を入力
- 作成した申請書類をアップロード
- 申請期限までに送信完了
4. 審査・採択結果の公表
- 締切後、事務局による審査が行われ、採択結果が公式サイトで発表されます。
- 採択された場合、交付申請に進みます。
5. 交付申請・交付決定
- 事業内容や経費の詳細を確定し、交付申請書を提出
- 交付決定通知が届いたら、事業を開始できます
6. 事業実施
- 補助対象経費の契約・発注・支払いは交付決定日以降に行います
- 期間内に事業を完了させ、実績をまとめます
7. 実績報告・補助金請求
- 実績報告書を提出し、事務局の確認を受けます
- 確定検査後、補助金が支払われます
8. 採択の傾向とポイント
ものづくり補助金は毎回多くの応募があり、採択率は回によって大きく変動します。近年は制度の成熟と申請件数の増加に伴い、採択率はおおむね30〜35%前後が目安となっています。
特にグローバル枠は高付加価値化枠よりも採択率が低く、戦略的な計画づくりと証拠資料の準備が重要です。
採択率の推移
- 初期(第1〜3次):約38〜62%と高水準
- 中期(第8〜13次):約50〜60%で安定
- 最近(第17〜19次):全体で約29〜36%
- 第19次(2025年):全体 31.8%/高付加価値化枠 32.3%/グローバル枠 24.1%
採択されやすい事業の特徴
- 革新性が高い
- 顧客に新たな価値を提供できる新製品・新サービスの開発
- 単なる生産効率化や既存製品の改善に留まらない取組
- 実現可能性が明確
- 必要な人材・設備・技術が揃っている
- 実施スケジュールが現実的で、リスク対応策が明示されている
- 経済的効果の裏付けがある
- 売上増加、付加価値額向上、雇用拡大などの数値目標が具体的
- 市場調査や競合分析の根拠が提示されている
- 社会的波及効果が高い
- 地域経済への貢献や他産業との連携
- 環境負荷低減やSDGs等への寄与
- 賃上げ・雇用要件への積極対応
- 大幅な賃上げや雇用拡大計画を明確化し、加点対象を狙う
ポイント
申請書作成時には「革新性」「実現可能性」「波及効果」の3点を軸に、数値や資料で裏付けを行うことが重要です。近年の傾向から、数値根拠の弱い計画や汎用的な設備導入のみの計画は採択が難しいといえます。
9. 注意点
申請や事業実施にあたっては、以下の点に注意してください。違反や不備があると、不採択や補助金返還につながる場合があります。
1. 経費の適正性
- 補助対象外の経費(汎用性の高い備品、交際費、税金など)は計上できません
- 契約・発注・支払いは必ず交付決定日以降に行ってください
- 見積は原則2者以上から取得し、相見積の根拠を明示
2. 計画の実現性
- 事業計画が過大すぎると「実現可能性が低い」と判断されます
- 自社の人員・資金・スケジュールで確実に実行できる計画を立てましょう
3. 申請書の記載内容
- 他事業や過去の申請内容を流用していると、整合性の欠如や誤記が発生しやすい
- 数値目標や効果は根拠付きで記載し、審査項目を漏れなくカバー
4. 特例や加点要件
- 賃上げや最低賃金引上げなどの加点要件を記載する場合、証拠資料が必須
- 目標未達の場合は補助金の一部返還を求められることがあります
5. スケジュール管理
- 交付決定から実績報告までの期間は限られています
- 設備納期や施工期間を事前に確認し、余裕を持った計画を立てましょう
ワンポイント
過去の不採択理由を見ると、「事業の革新性不足」「根拠のない数値目標」「対象外経費の計上」が目立ちます。
申請前に必ず第三者によるチェックを受けると安心です。
10. よくある質問(FAQ)
Q1. 補助金はいつ支払われますか?
A. 補助事業が完了し、実績報告が承認された後に精算払いで支払われます。原則として前払いはありません。
Q2. 複数の補助金に同時申請できますか?
A. 可能ですが、同一経費を重複して申請することはできません。他制度との併用可否は制度ごとに異なります。
Q3. 申請書は自分で作らないといけませんか?
A. 自社での作成が基本ですが、商工会議所・商工会や認定支援機関、コンサルタントのサポートを受けることも可能です。
当事務所もサポート可能です。相談をお待ちしております。
Q4. 採択後に計画を変更できますか?
A. 軽微な変更は届出で対応可能ですが、大幅な内容変更や経費配分変更は事前承認が必要です。
Q5. 採択されなかった場合、再申請できますか?
A. 次回以降の公募で再申請できます。不採択理由を分析し、事業計画を改善してから再挑戦することをおすすめします。
当事務所では、大幅な変更がない限り、追加料金なしで対応します。
Q6. リース契約で設備導入は可能ですか?
A. 原則不可ですが、リース料が補助対象経費として認められるケースもあります。条件や期間制限があるため、公募要領で必ず確認してください。
Q7. 海外で使う設備やソフトウェアも対象になりますか?
A. グローバル枠では対象になりますが、補助対象経費の50%以上が海外事業関連であることや、証拠資料の提出が必須です。
Q8. 個人事業主も申請できますか?
A. 中小企業基本法の小規模事業者に該当し、要件を満たせば申請可能です。確定申告書類の提出が必要です。
Q9. 採択後に補助対象経費が増えた場合、追加申請はできますか?
A. 原則できません。交付申請時に確定した金額が上限となります。
Q10. 申請書類の提出期限に間に合わなかった場合、救済措置はありますか?
A. 期限後の申請は一切受け付けられません。電子申請システム(jGrants)のトラブルも想定して、余裕を持った提出が必要です。
11. まとめ
ものづくり補助金は、中小企業が新たな挑戦や生産性向上に取り組む際に、資金面を強力に支援する制度です。
第21次からは要件や証拠資料の明確化が進み、事前準備や実施管理がこれまで以上に重要になっています。
しかし、その分、戦略的に準備を整えた事業ほど採択の可能性が高まり、事業拡大の大きなチャンスとなります。
自社の3〜5年先を見据えた成長戦略と必要な設備・人材投資を整理し、制度を効果的に活用してみませんか。
事務所では、本制度の活用に向けた事業計画書作成支援や申請サポートを行っています。
初回相談は無料ですので、
- 制度の詳細を知りたい方
- 自社が申請対象になるか確認したい方
- 事業計画書や必要書類の準備に不安がある方
はお気軽にお問い合わせください。
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