1. 制度の概要
IT導入補助金2025 は、中小企業・小規模事業者等が自社の生産性向上や業務効率化を目的としてITツール(ソフトウェア・クラウドサービス・関連サービス等)を導入する際、その経費の一部を国が補助する制度です。
近年の制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度導入等)や、デジタル化の加速に対応し、持続的な事業成長を支援することを目的としています。
申請は、補助事業者(中小企業・小規模事業者等) と、制度に登録された IT導入支援事業者 が共同事業体となって行います。交付決定後は、導入から効果報告までを伴走支援を受けながら実施します。
制度の仕組み(概要)
- 登録済みのIT導入支援事業者 が提供・登録したITツールのみが対象
- 申請者とIT導入支援事業者が共同事業体を形成し、事務局(運営:TOPPAN株式会社)に申請
- 補助金は交付決定後に導入・支払い・実績報告を経て交付
- 効果報告は最大3年間、年度ごとに実施
主要な用語の定義
用語 | 定義 |
---|---|
補助事業者 | 本制度に申請し、採択された場合に補助金を受け取る中小企業・小規模事業者等のこと。 |
IT導入支援事業者 | 制度に登録され、ITツールの提供・導入支援・申請サポート等を行う事業者。 |
ITツール | 登録されたソフトウェア、クラウドサービス、オプション、役務、ハードウェアなど、生産性向上に資するもの。 |
外部専門家(複数社連携枠のみ) | グループの取組に助言・支援を行う第三者専門家。謝金・旅費等が補助対象になる場合あり。 |
グループ構成員(複数社連携枠のみ) | 同一の補助事業に参加する事業者の総称。代表事業者と参画事業者を含む。 |
代表事業者(複数社連携枠のみ) | グループの取りまとめ役として、申請・報告・実施管理を行う事業者。 |
2. 補助対象となる事業者
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等 として定義された企業・個人事業主が申請可能です。業種ごとに、資本金または従業員数のいずれかが以下の基準を満たしIT導入補助金2025 の申請対象は、日本国内で事業を営む 中小企業・小規模事業者等 です。業種ごとに資本金または従業員数の上限が定められています(詳細は下表参照)。
なお、一部の枠(例:インボイス枠〈電子取引類型〉)では、大企業が補助事業者となる場合もありますが、その場合は取引関係にある中小企業・小規模事業者等へ無償でアカウントを供与するなど、所定の条件を満たす必要があります。
申請には、必ず IT導入支援事業者 との連携が必要で、両者が共同事業体として補助金事務局に申請します。
中小企業・小規模事業者等の定義
業種分類 | 資本金の額または出資総額 | 常時使用する従業員数 |
---|---|---|
製造業(ゴム製品製造業を除く)、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5千万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ・チューブ製造業及び工業用ベルト製造業に限る) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業、情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
※ 個人事業主は資本金要件ではなく従業員数要件が適用されます。
対象外事業者(主な例)
以下に該当する事業者は申請できません。
- 本事業の趣旨に反する事業活動(公序良俗に反する事業、反社会的行為など)を行っている者
- 資本金・従業員数が上記基準を超える企業
- 医療法人、学校法人、農業協同組合、NPO法人など、一部の法人格(※枠によっては申請可能な場合あり)
- 政治団体、宗教法人
- 暴力団関係者、またはそれらと関係を持つ者
- 国、地方公共団体、独立行政法人などの公的機関
- 過去に補助金等の不正受給や重大な契約違反があった事業者
3. 補助金の枠の種類と特徴
IT導入補助金は、導入するITツールの機能や目的に応じて、複数の枠が設定されています。
それぞれの枠ごとに、補助額・補助率・対象経費・要件が異なります。
補助枠一覧
枠名 | 補助額 | 補助率 | 主な機能要件 | 主な対象経費 |
---|---|---|---|---|
通常枠 | 5万円〜150万円未満(条件により150〜450万円以下) | 中小企業:1/2以内 小規模事業者:2/3以内 | 業務プロセス1つ以上の効率化 | ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、導入関連費 |
セキュリティ対策推進枠 | 5万円〜150万円 | 中小企業:1/2以内 小規模事業者:2/3以内 | IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載サービス | サービス利用料(最大2年分) |
インボイス枠(インボイス対応類型) | 下限なし〜350万円(段階的上限設定あり) | 3/4以内(小規模4/5以内) | 会計・受発注・決済のいずれか1機能以上 | ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、ハードウェア関連費、導入関連費 |
インボイス枠(電子取引類型) | 下限なし〜350万円 | 中小企業・小規模:2/3以内 その他:1/2以内 | インボイス制度対応の受発注機能+無償アカウント供与機能 | クラウド利用費(最大2年分)※無償供与割合で按分 |
複数社連携IT導入枠 | (1)基盤導入経費+(2)消費動向等分析経費(上限3,000万円)+(3)その他経費 | (1)(2):2/3以内 (3):上限額に2/3を乗じた額または200万円の低い方 | グループでの共同取組に資するITツール導入 | 基盤導入経費、分析経費、事務費、外部専門家費 等 |
各枠の特徴
通常枠
- 最も幅広い事業者が利用可能
- 業務効率化や売上向上を目的に、1つ以上の業務プロセスを改善するITツールが対象
- 条件を満たす場合、上限額を450万円まで拡大可能
セキュリティ対策推進枠
- サイバー攻撃や情報漏洩リスク低減を目的とした枠
- IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスのみ対象
インボイス枠(インボイス対応類型)
- インボイス制度対応を強力に推進
- 補助率が通常枠より高く設定されており、小規模事業者は最大4/5補助
インボイス枠(電子取引類型)
- インボイス制度に対応した受発注機能を有するITツールが対象
- 発注側が受注側に無償でアカウントを供与できる機能が必須
- 補助対象経費は無償供与割合で按分計算
複数社連携IT導入枠
- 複数の事業者(10者以上)がグループで共同して導入
- コーディネーターや外部専門家の費用も補助対象
- 商業集積地やサプライチェーン全体でのデジタル化に有効
4. 補助対象経費と補助額
IT導入補助金2025では、公募要領に登録されたITツールの導入に必要な費用の一部が補助されます。
補助額・補助率は選択する枠や事業者区分によって異なります(※枠の概要は「3. 補助金の枠の種類と特徴」を参照)。
補助対象経費の範囲(共通)
経費区分 | 内容 | 対象枠 |
---|---|---|
ソフトウェア購入費 | 登録ITツールのライセンス・パッケージ費用 | 全枠(電子取引類型を除く) |
クラウド利用費 | 最大2年間分の利用料 | 全枠(条件付き) |
導入関連費 | 設定、カスタマイズ、操作説明などの導入サポート | 全枠 |
ハードウェア関連費 | PC・タブレット、レジ、券売機等(上限あり) | インボイス対応類型のみ |
サービス利用料 | IPA「サイバーセキュリティお助け隊」リスト掲載サービス | セキュリティ枠 |
外部専門家費用 | コンサルティング、調査分析、旅費等(条件あり) | 複数社連携枠 |
枠ごとの主な違い(補助対象経費・計算方法)
枠名 | 主な経費の特徴 | 補助額計算の注意点 |
---|---|---|
通常枠 | ソフト・クラウド・導入関連費が中心 | 補助額は5万〜150万円未満(条件により450万円) |
セキュリティ枠 | サービス利用料のみ対象(最大2年分) | 指定サービスに限る |
インボイス対応類型 | ハードウェア関連費も補助対象 | 補助率3/4(小規模4/5) |
電子取引類型 | クラウド利用費のみ対象 | 無償アカウント供与割合で按分計算 |
複数社連携枠 | 導入費に加え、分析費・外部専門家費も対象 | 経費区分ごとに上限・補助率が異なる |
補助対象外経費(主な例)
- 交付決定前に契約・支出した経費
- 本事業の目的に直接関係しない機器・ソフト(例:汎用PCや汎用オフィスソフト)
- 中古品、リース・レンタル費(※条件付きで可の場合あり)
- 保守更新契約、消耗品費、広告宣伝費、研修費(対象外の場合が多い)
補助額計算の共通注意点
- 補助率は事業者区分や枠によって異なる
- インボイス電子取引類型は無償アカウント供与割合で補助額が変動
- 複数社連携枠は経費区分ごとの上限・補助率に注意
- 補助額は消費税抜きで計算
5. 公募スケジュール
IT導入補助金2025は、年度内に複数回の公募・採択が行われます。
申請受付の開始時期、締切日、交付決定日は枠や年度ごとに異なりますが、例年の傾向としては春から秋にかけて複数回の締切が設定されています。
なお、最新のスケジュールを知りたい方はこちらへ
主なイベント
- 公募開始
- 年数回、事務局ホームページで公募要領とともに募集が開始されます。例年、最初の公募は2〜3月頃に始まります。
- 申請受付期間
- 公募開始からおおむね1〜2か月間が申請受付期間です。電子申請(jGrants)が原則です。
- 審査・採択発表
- 申請締切から1〜2か月後に、採択事業者が事務局ホームページで公表されます。
- 交付申請・事業開始
- 採択発表後、原則2か月以内に交付申請を行い、承認後に事業を開始します。
- 事業実施期間
- 交付決定からおおむね6〜10か月間が実施期間です。年度をまたぐ場合もあります。
- 実績報告・補助金請求
- 事業完了後、実績報告を提出し、確定検査を経て補助金が支払われます。
- 効果報告は導入翌年度以降、最大3年間行います。
過去の実施回数(参考)
- 2023年度:通常枠・特別枠あわせて 年5〜6回程度
- 2024年度:通常枠・特別枠あわせて 年6回程度
- 2025年度:通常枠が年7回、特別枠が年3~7回
※インボイス枠や複数社連携枠など、一部枠は通常枠とは締切スケジュールが異なる場合があります。
スケジュール確認のポイント
- 締切日や採択発表日は公式サイト(IT導入補助金事務局ポータル)で最新情報を確認すること
- 複数回応募できる場合もあるが、同一事業内容での重複申請は不可
- 補助事業実施期間は交付決定日から始まるため、スケジュールが後ろになると導入期間も短くなる
6. 申請要件
IT導入補助金2025では、補助対象事業者であっても、申請には一定の要件を満たす必要があります。
要件は枠ごとに細かい違いがありますが、共通して以下の条件が求められます。
共通要件(全枠)
- 補助対象事業者であること(「2. 補助対象となる事業者」参照)
- 日本国内で事業を営んでいること(本社または事業所を有すること)
- IT導入支援事業者と共同で申請し、採択後も伴走支援を受けること
- 事業計画期間中の労働生産性向上目標を設定すること(3年後および5年後の数値目標)
- 補助事業の実施期間内に導入・支払・実績報告を完了できること
- 効果報告(交付後最大3年間)に応じること
- 公募要領で定める「対象外事業者」に該当しないこと(反社会的勢力、政治団体、宗教法人等)
枠別の主な追加要件
枠名 | 主な追加要件 |
---|---|
セキュリティ対策推進枠 | IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載サービスを導入すること |
インボイス対応類型 | 会計・受発注・決済のいずれか1機能以上を有するITツールを導入 |
電子取引類型 | インボイス制度対応の受発注機能+取引先中小企業への無償アカウント供与機能を有すること |
複数社連携枠 | グループ全体で10者以上の事業者が参画し、共同でITツールを導入すること |
事業計画書作成のポイント
申請の中心となるのは事業計画書です。採択可否は計画内容の妥当性や実現可能性に左右されます。
作成時は以下の点を意識しましょう。
- 現状の課題を具体的に記載
- 業務プロセスの非効率部分や売上減少の要因を数値や事例で示す
- 「なぜ今このITツールが必要か」を明確化
- 導入するITツールの機能と効果を紐付ける
- 機能説明だけでなく、課題解決との関連性を説明
- 例:「受発注業務の自動化 → 月間処理時間△△時間削減」
- 数値目標の設定
- 公募要領に定められた労働生産性向上目標(3年後・5年後)を算出
- 売上高・営業利益・人件費等の根拠を明確にする
- スケジュールの現実性
- 交付決定後から完了報告までの実行可能な工程表を作成
- 導入時期・研修・効果測定時期を明記
- 継続性の説明
- 補助期間終了後も継続利用する意思と計画を示す
- 維持費や保守体制も含めて記載
採択されるためのチェックポイント
- 課題と解決策の一貫性
「現状の課題 → ITツールの機能 → 期待効果」が論理的につながっているか - 数値目標の具体性と根拠
測定可能な目標設定(売上高、業務時間削減など)と、その根拠を示す - 効果の持続性
補助期間終了後も運用・効果が続く体制があるか - 費用対効果の高さ
投資に見合う成果が見込めるか - 申請書の読みやすさ
誰が読んでも理解できる文章か(専門用語の使いすぎに注意)
7. 申請の流れ
IT導入補助金2025の申請は、補助事業者(申請者) と IT導入支援事業者 が共同で行います。
申請から補助金受給までの主な流れは以下のとおりです。
1. IT導入支援事業者の選定・相談
- 事務局ポータルサイトの「IT導入支援事業者一覧」から、自社の課題に合った事業者を探す
- 導入可能な登録ITツールやサポート内容を比較
- 申請要件や必要書類の確認、事業計画の方向性を相談
2. 導入するITツールの決定
- 課題解決につながる登録済みITツールを選定
- 複数ツールやオプションの組み合わせも可能(枠の要件に適合する必要あり)
- 導入にかかる費用見積もりを作成
3. 必要書類の準備
申請前に、枠や事業者区分に応じた必要書類を揃えます。
不備があると申請が受理されない場合があるため、早めの準備が重要です。
必要書類一覧(例)
区分 | 主な書類 | 備考 |
---|---|---|
全事業者共通 | 事業計画書 | IT導入支援事業者と共同で作成。課題、導入効果、数値目標、スケジュール等を記載 |
GビズIDプライムアカウント | jGrants申請に必須 | |
労働者名簿 | 従業員数確認用 | |
直近期の事業概要書 | 任意様式または会社案内可 | |
法人 | 直近2期分の決算書(貸借対照表・損益計算書) | 税務署受付印または電子申告確認印が必要 |
履歴事項全部証明書 | 発行後3か月以内 | |
個人事業主 | 直近分の確定申告書(第一表・第二表) | 税務署受付印または電子申告確認印が必要 |
開業届 | 税務署受付印が必要 | |
枠別追加書類 | 複数社連携枠:グループ構成表 | 参加事業者一覧、役割分担記載 |
電子取引類型:無償アカウント供与計画書 | 提供予定数・提供先等を明記 |
※詳細は各枠の公募要領を必ず確認してください。
4. 事業計画の策定
- 現状の課題と導入後の改善効果を明確化
- 労働生産性向上目標(3年後・5年後)を設定
- 実施スケジュールと資金計画を記載
5. 交付申請(電子申請)
- IT導入支援事業者が申請フォームを作成、申請者が内容を確認・承認
- jGrants(電子申請システム)を通じて申請
- 申請後、事務局による書類確認・審査が行われる
6. 採択・交付決定
- 採択結果は事務局サイトで公表
- 採択後、交付申請書類を提出し、事務局の承認(交付決定)を受ける
7. 補助事業の実施
- ITツールの契約・導入・支払いを交付決定後に実施
- 導入後は操作研修や初期設定などのサポートを受ける
- 事業期間内に全ての支払いと運用開始を完了させる
8. 実績報告・補助金請求
- 導入内容・費用支払の証憑・効果に関する報告書を提出
- 事務局による検査・確認後、補助金が交付される
9. 効果報告
- 導入翌年度以降、最大3年間、労働生産性や業務改善効果を報告
- 報告が行われない場合は、補助金の一部返還を求められる可能性あり
8. 採択の傾向とポイント
IT導入補助金は、採択率が年度や枠によって変動します。
ここでは、過去の採択率の推移と全体傾向を紹介します。
採択率の推移
年度 | 全体採択率(通常枠) | 特徴 |
---|---|---|
2021年度 | 約50〜55% | コロナ特別枠の影響で申請件数が増加 |
2022年度 | 約45〜50% | 通常枠の競争がやや激化 |
2023年度 | 約55〜60% | 特定枠(セキュリティ・インボイス)で採択率が高め |
2024年度 | 約50〜55% | インボイス関連枠の採択率が比較的高い傾向 |
※枠ごとの採択率は、通常枠よりインボイス枠やセキュリティ枠が高め、複数社連携枠は要件が厳しい分申請数が少なく、採択率は安定的に高い傾向があります。
採択されやすい申請の全体的特徴
- 枠の趣旨に合致しており、課題と解決策が明確
- 数値目標に根拠があり、効果の持続性が示されている
- 事業計画のスケジュールや体制が現実的
- 書類不備や形式面のミスがない
※具体的なチェック項目は「6. 申請要件」の「採択されるためのチェックポイント」 を参照してください。
採択率に影響する要因
- 枠の選び方
- インボイス枠やセキュリティ枠は趣旨が明確で競合が少ないため、採択率が比較的高い
- 通常枠は申請件数が多く、競争が激しい
- 申請時期
- 初回〜中盤の締切は比較的採択率が安定
- 最終回は駆け込み申請が増え、競争がやや激しくなる傾向
- 申請内容の完成度
- 同じ要件を満たしていても、計画の説得力・数値根拠・表現力で差が出る
9. 注意点
IT導入補助金は、申請から実績報告まで長期にわたる事業です。
採択後であっても、要件やルールに違反すると補助金の交付取消や返還の対象となる場合があります。
申請前・事業実施中・完了後、それぞれの段階で以下の点に注意してください。
申請前の注意点
- 要件の再確認
補助対象事業者区分や枠の条件を満たしているか、公募要領を必ず確認 - スケジュールの把握
締切や実績報告期限を守れる計画かどうかを事前に検討 - 見積もりと費用内訳の精査
補助対象経費と対象外経費を明確に区分 - IT導入支援事業者との役割分担
申請書作成や書類提出の責任範囲を事前に合意
事業実施中の注意点
- 交付決定前の契約・支払い禁止
交付決定前に契約や支出を行った経費は補助対象外 - 計画変更時の手続き必須
導入ツールの変更、経費の組み替え、スケジュール変更は事務局承認が必要 - 証憑書類の保管
契約書、請求書、納品書、支払証憑(振込明細等)は5年間保存 - 導入完了の定義を確認
納品・設定・運用開始まで完了していることが必要
実績報告・効果報告の注意点
- 期限厳守
実績報告や効果報告の遅延は補助金交付取消の対象 - 報告内容の整合性
実施内容・導入ツール・経費が交付申請時の計画と一致していること - 効果報告の継続義務
最大3年間の効果報告に対応できる体制を整えておく
よくある不交付・返還事例
- 交付決定前に契約・支払いを行った
- 補助事業完了前に導入機器を転売・処分
- 実績報告の証憑不足や不備
- 計画と異なるITツールを導入
- 効果報告未提出
10. よくある質問(FAQ)
Q1. GビズIDがないと申請できませんか?
A. はい。必須です。
IT導入補助金の申請は電子申請(jGrants)で行うため、GビズIDプライムアカウントが必要です。発行には2〜3週間程度かかる場合があるため、早めに取得してください。
Q2. 既に導入しているソフトも対象になりますか?
A. 原則対象外です。
補助対象は交付決定後に新規契約・導入するITツールです。
ただし、既存ソフトの追加機能の導入や上位プランへのアップグレードは、条件を満たせば対象になる場合があります。
Q3. 複数枠の併用は可能ですか?
A. 条件を満たせば可能です。
例:
- インボイス枠+通常枠(150万円未満)+セキュリティ枠
- インボイス枠(電子取引類型)+複数社連携枠
ただし、同一経費の二重計上はできません。また、申請・交付スケジュールが異なる場合があります。
Q4. 導入後すぐに解約するとどうなりますか?
A. 補助対象期間中の解約は補助金返還の可能性があります。
最低利用期間や運用継続義務が枠ごとに定められています。解約や利用停止を予定する場合は、事前にIT導入支援事業者や事務局に相談してください。
Q5. 補助金はいつ支払われますか?
A. 実績報告の審査完了後に支払われます。
補助事業終了後、実績報告書と証憑書類を提出し、事務局の確認を経て交付されます。支払いまでに数か月かかる場合があります。
Q6. 補助金で購入した機器やソフトを途中で変更できますか?
A. 原則不可ですが、事務局の承認があれば可能です。
ツールの変更や構成の入れ替えを行う場合、事業計画変更手続きが必要です。無断変更は補助金返還の対象になります。
Q7. 交付決定前に契約・支払いをしてしまいました。どうなりますか?
A. その経費は補助対象外です。
補助対象となる経費は、交付決定日以降に契約・発注・支払いを行ったものに限られます。
11. まとめ
IT導入補助金2025は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題解決や生産性向上のためにITツールを導入する際に活用できる重要な制度です。
本ページでは、制度の概要から補助対象、申請要件、スケジュール、採択のポイント、注意点、FAQまで、申請に必要な情報を解説しました。
制度を活用するには、IT導入支援事業者との連携、事業計画書の完成度、スケジュール管理が重要です。
また、採択されるためには、課題と解決策の一貫性や数値目標の根拠付け、計画の実現可能性などが審査の評価ポイントとなります。
当事務所では、本制度の活用に向けた事業計画書作成支援や申請サポートを行っています。
初回相談は無料ですので、
- 制度の詳細を知りたい方
- 自社が申請対象になるか確認したい方
- 事業計画書や必要書類の準備に不安がある方
はお気軽にお問い合わせください。
IT導入支援事業者からのご相談も歓迎します。
関連記事
当事務所のブログに投稿したIT導入補助金の関連記事はこちらへ
https://asakura-toyama.jp/tag/it-shien
関連リンク
免責
本ガイドは公開情報に基づいた概要です。最新の要件・様式・受付状況は、必ず公式サイトおよび最新の公募要領でご確認ください。内容は予告なく変更される場合があります。