設備投資を後押し!ものづくり補助金の申請条件・スケジュール【2025最新版】
「新しい設備を入れたいけど、資金の負担が大きくて踏み出せない…」
そんな悩みを抱える中小企業経営者は少なくありません。
そこで活用してほしいのが、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、「ものづくり補助金」)です。
この制度を利用すれば、革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業のために必要な機械装置やシステム構築といった設備投資等にかかる費用の一部を最大3,000万円、原則返済不要の形で補助してもらえます(要件未達成の場合等、返還が求められることもあります)。
本記事執筆時点では、直近で第21次の公募(令和7年10月3日~10月24日)がございます。チャレンジしたい事業者様は、お問い合わせページよりご連絡ください。前もって準備をしておくことで、質の高い申請書類を作成し、採択を勝ち取りましょう!
この記事では、ものづくり補助金の最新公募情報(第21次)と申請条件・締切を中心に説明します。制度の基本をまず知りたい方はこちらへ
1. ものづくり補助金とは?
制度の概要と目的
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業や小規模事業者が行う革新的な設備投資やサービス開発を支援する国の補助金制度です。経済産業省が所管し、地域の商工会・商工会議所や中小企業団体中央会を通じて公募・採択が行われます。
本制度の最大の特徴は、機械装置の購入やシステム構築など、生産性向上に直結する取り組みの経費が最大3,000万円まで補助される点です。補助率は一般的に2分の1(一定条件で3分の2)で、自己負担を抑えながら大規模な設備投資や新製品開発が可能となります。
目的は大きく分けて以下の3つです。
- 中小企業の生産性向上
最新設備やITツール導入によって作業効率を高め、付加価値額の増加を目指します。 - 地域経済の活性化
地域の企業が競争力を高めることで、雇用創出や地元経済の発展につなげます。 - 新たな事業分野への挑戦支援
新製品・新サービスの開発や販路拡大により、企業の成長戦略を後押しします。
ものづくり補助金は、単なる資金援助にとどまらず、中長期的な経営力強化を促す制度です。そのため、申請にあたっては単発の投資計画ではなく、事業全体の成長ビジョンと具体的な成果目標を盛り込むことが求められます。
対象となる事業者
ものづくり補助金は、基本的に、中小企業者または小規模企業者・小規模事業者を対象としています(これら以外にも「特定事業者」などの例外があります)。
ざっくり言えば、製造業やIT系のサービス業等であれば、資本金が3億円以下であるか従業員の数が300人以下であれば、ものづくり補助金を申請できます。なお、業種によって中小企業者等と判断される従業員数や資本金の額の基準が異なります。
2. 補助対象経費と補助額
設備投資に関わる経費(機械装置、システム構築など)
ものづくり補助金では、革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業のために必要な設備投資などに必要な経費が補助対象となります。。「ものづくり」といいながら、新サービス開発も対象となりますので、製造業に限らずIT含むサービス業など様々な業種のお客様が活用可能な制度といえます。特に、以下のような経費が代表的です。
機械装置・システム構築費
- 生産設備の導入や入れ替え
例:NC旋盤、マシニングセンタ、自動組立ラインなど - ITシステムやソフトウェアの構築
例:生産管理システム、CAD/CAM、IoT制御システム - 既存設備の改造・性能向上
例:自動化・省力化装置の追加導入
導入に伴う関連経費
- 設備の据付工事費や配線・配管工事費
- 試運転調整にかかる費用
- 必要な設計費や外注加工費
補助対象外となるケース
- 単なる老朽化設備の入れ替え(性能向上が伴わない場合)
- 汎用性が高く事業目的が明確でない備品(例:事務机、乗用車)
- 中古設備で一定基準を満たさないもの
補助額と補助率(一般型・グローバル型など)
ものづくり補助金は、ざっくり言えば、中小企業が物価高や賃上げなどの環境変化に対応し、売上を伸ばす力をつけるために、新製品・新サービスの開発や海外展開などを行う際、その設備投資費用の一部を補助し、生産性向上と経済の活性化を目指す制度です。
補助上限額は、申請企業が革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓のどちらを目指すかによって異なります。製品・サービス高付加価値枠については750万円〜2,500万円(従業員規模によって異なり、51人以上で最高の2,500万円)、グローバル枠については3,000万円(従業員規模に関わらず一律)です。グローバル枠の方が、補助上限額でいえば優遇されていますが、追加要件が課されるため申請のハードルも上がります。
補助率は、中小企業については1/2、小規模企業・事業者については2/3です。補助率は、応募枠による差はありません。ただし、技術導入費や知的財産権等関連経費などの特定の経費についてはより低い補助率が適用されることがあります。
例えば、中小企業が、1,500万円の設備投資をする場合、750万円が補助され、自己負担は750万円に抑えられます。小規模事業者が同じ投資をすれば、1,000万円が補助され、自己負担は500万円に抑えられます。
さらに、特例措置要件を満たすことで、補助上限額が100万円~1,000万円アップしたり、中小企業の補助率が2/3に引き上げられたりするなどのボーナスがつきます。
3. ものづくり補助金のメリット・デメリット
メリット
返済不要の資金が得られる
融資と違い、ものづくり補助金は原則返済不要です(後述のとおり、要件未達成の場合等、返還が求められることもあります)。
そのため、資金繰りを圧迫せずに最新設備やシステムを導入できます。
高額な設備投資のハードルが下がる
小規模事業持続化補助金やIT導入補助金などと比べて、補助上限額が高いです。総額1,000万円~5,000万円くらいまでの規模であれば、半額程度の自己負担で設備投資を行えます。競合他社に先んじて適切な設備投資を行うことで、先行者利益を獲得できるかもしれません。
デメリット
採択率が低い
ものづくり補助金は魅力的な制度である反面、申請者間の競争は激しく、採択率は製品・サービス高付加価値枠では3割強(1623/5025)、グローバル枠では2割強(75/311)です(第19次実績)。このため、申請の準備が不十分であれば不採択となるリスクは高いといえます。革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を目的とするなど制度趣旨に合っていて、かつ自社の経営課題の解決策として納得感のある事業計画を検討し、完成度の高い文書に落とし込むことが求められます。
返還のペナルティがある
ものづくり補助金は、採択にあたっていくつかの要件があります。特に賃上げ関連の要件について未達成である場合に、補助金の返還が求められるケースがあります。このため、設備投資→新製品・新サービス販売や海外展開→売上向上といった流れで賃上げの原資を生み出せるような事業計画を検討すべきです。そして、仮にどこかの段階で一時的につまずいて計画が遅れても予定していた賃上げを実行できるだけの資金繰りをしておくのが理想的です。こうすれば、補助金を返還しなければならないというリスクを回避できます。
補助金は後払い
ものづくり補助金に採択されたとしても、まずは申請者が経費を支払い、その後、補助金の交付を受けるという流れになります。したがって、設備投資を賄う自己資金を確保しておくか、足りない場合には金融機関のつなぎ融資を利用するなどの資金繰りが必要となります。
申請書作成や手続が煩雑
ものづくり補助金は、競争が激しいため申請書類(特に、事業計画書)を作成するのはかなり骨が折れます。制度趣旨に合っていることや合理的な事業であることは当然として、第三者が読んで納得感のある文章・数値・図解を使って、さらには審査において加点対象となる要素を意識した形式で、適切なボリュームの文書に仕上げなければ、採択は覚束ないです。表現が分かりにくかったり、情報量が極端に少ない事業計画書を提出してもその他大勢に埋もれてしまいます。さらに、申請書作成以外にも、採択後には5年間計6回もの事業化状況報告が要求されます。
もちろん、社内にこのような煩雑な事務作業をするのに十分な人的リソースがあれば自社単独で申請してみるのもアリだと思います。一方で、そこまでの人的リソースを割けない事業者様の場合、補助金申請を諦めるしかないかというとそんなことはありません。中小企業診断士などの専門家にアウトソースすればよいのです。アウトソースすることで多少の手数料はかかりますが、社内の貴重な人的リソースが浮くので、既存業務やものづくり補助金の対象である革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓に振り向けることができます。
4. 2025年(第21次公募)スケジュール
公募開始日と締切日
- 公募開始:2025年10月3日
- 応募締切:2025年10月24日(17時まで)
採択結果の発表予定日
- 2025年12月上旬予定
次回以降の公募見通し
- 年3〜4回の公募が想定されるため、早めの準備が重要
5. 申請条件
賃上げ要件・付加価値向上要件
- 補助事業終了後3〜5年間、事業所内最低賃金を年率1.5%以上引き上げること
- 付加価値額を一定割合以上増加させる計画を策定
事業計画書に求められる内容
- 新製品・新サービスの市場性や差別化要素
- 投資による生産性向上の具体的数値目標
- 実施スケジュールと資金計画
6. 申請手続きの流れ
GビズIDの取得
申請は電子申請システム(jGrants)で行うため、GビズIDプライムアカウントが必須です。
申請書作成・提出方法
- 公募要領を確認
- 事業計画書、見積書、会社概要書などを準備
- jGrantsで申請
採択後の手続き
- 交付申請
- 実績報告(補助事業終了後)
- 補助金請求・受領
7. 採択されるためのポイント
採択事例から見る成功パターン
- 課題が明確で、解決策としての投資内容が具体的
- 市場ニーズや収益性の裏付けがある
- 他社との差別化が明確
不採択を避けるための注意点
- 要件を満たさない経費を計上している
- 計画書が抽象的で数値的根拠がない
- 申請期限直前に準備を始める
8. 他の補助金との比較
IT導入補助金との違い
- IT導入補助金は主にソフトウェアやクラウド導入が対象
- ものづくり補助金はハード+ソフト一体型の投資が可能
小規模事業者持続化補助金との違い
- 持続化補助金は販路開拓や広報活動向け
- ものづくり補助金は大規模な設備投資向け
9. よくある質問(FAQ)
Q. 誰でも申請できますか?
A. 中小企業基本法で定められた条件を満たす事業者のみ対象です。
Q. 不採択の場合の再申請は?
A. 次回以降の公募で再申請可能です。当事務所にご依頼頂いた場合、追加料金なしで修正提案・再チャレンジ可能です(大幅な変更がない場合)。
Q. 補助金の返還を求められることはありますか?
要件未達や不正受給の場合は返還する義務があります。
10. まとめ
ものづくり補助金は、原則返済不要で最大3,000万円が補助される、非常に魅力的な制度です。
新商品・新サービス開発や海外展開を検討している事業者様にとっては、その計画を強力に後押ししてくれるツールといえます。
制度の魅力の反面、競争が激しいため質の高い事業計画書が求められます。
採択を目指すには、早めの準備・計画的な投資内容の設計・要件の正確な理解が不可欠です。設備投資を検討している方は、次回公募に向けて今から準備を始めましょう。
当事務所にご依頼頂ければ、経営コンサルに関する唯一の国家資格である中小企業診断士が事業計画書の作成を徹底支援しますので、お客様は貴重な人的リソースを節約しながら、自信を持ってものづくり補助金を申請することができます。
また、当事務所は、補助金申請支援関連の手数料のうち成功報酬部分については、顧問契約の締結を条件に無料とさせて頂きます。
ものづくり補助金は、補助金額が高額であるため、他の多くの支援機関に依頼すると成功報酬の負担が大きくなりがちですが、当事務所で顧問契約を締結頂ければ補助金額が高くなるほど総費用をカットできます。
当事務所は、お客様と長期的な関係を築くことを重視しておりますので、このような料金体系を採用しております。
もちろん、補助金申請支援のみのご依頼も歓迎致します。
ものづくり補助金の申請支援が必要でしたら、下の「お問い合わせ」ボタンよりご連絡ください。なお、可能な限り多くのお客様のご依頼に応える所存ですが、業務が集中した場合にはやむを得ずお断りさせて頂くこともございます。お早めにご相談を頂きたく宜しくお願い致します。