本ページは2025年9月30日版の公募要領に基づき作成しています。要領は改訂される場合があります。申請前に必ず事務局サイト掲載の最新版をご確認ください。
1. 小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)とは
概要
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)は、小規模事業者や一定の要件を満たす特定非営利活動法人が、今後数年間にわたり直面する制度変更や経営環境の変化(物価高騰、最低賃金引上げ、インボイス制度導入など)に対応するための販路開拓や業務効率化(生産性向上)を支援する制度です。
事業者が自ら経営計画を策定し、その計画に基づく取組にかかる経費の一部を補助することで、地域経済の担い手である小規模事業者の生産性向上と持続的発展を促進します。
想定される課題と解決アプローチ
想定される課題例
- 制度変更や経営環境の変化への対応不足(例:インボイス制度導入による請求・経理業務の変化、最低賃金引上げによる人件費負担増)
- 新規顧客層や販路の開拓が進まない
- 販路開拓と同時に進めるべき業務効率化の遅れ
解決アプローチ
- 販路開拓支援:新市場への進出、新規顧客獲得、商品の改良や開発
- 業務効率化支援:省力化や生産性向上につながる機械・設備導入、IT活用による業務の自動化
- 特例制度の活用:
- インボイス特例:免税事業者から適格請求書発行事業者への転換対応を支援(上限額50万円上乗せ)
- 賃金引上げ特例:最低賃金の引上げに加え、事業場内最低賃金を+50円以上引き上げた場合に支援(上限額150万円上乗せ、赤字事業者は補助率引上げ)
用語の定義
- 小規模事業者等:
「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」に基づき、業種ごとに常時使用する従業員数が以下の基準以内の事業者。- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):5人以下
- 宿泊業・娯楽業:20人以下
- 製造業その他:20人以下
また、一定要件を満たす特定非営利活動法人も含まれる。
- 販路開拓:新たな市場・顧客層への販売経路の開発や、既存市場での販売拡大のための活動。
- 業務効率化(生産性向上):人員や時間の投入量を抑えつつ成果を高めるための取組(例:ITツール導入、作業工程の見直し)。
- インボイス特例・賃金引上げ特例:通常の補助上限に加えて支援額を上乗せできる優遇措置。
2. 補助対象となる事業者
対象者の要件
本補助金の対象となるのは、次の条件を満たす小規模事業者等です。
- 法人:株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合、協業組合、士業法人(弁護士・税理士等)
- 個人事業主(商工業者であること)
- 一定要件を満たす特定非営利活動法人(NPO法人)
- 法人税法上の収益事業(法人税法施行令第5条に規定される34事業)を行っていること
- 認定特定非営利活動法人でないこと
- 医師、歯科医師、助産師
- 系統出荷による収入のみの個人農業者、林業者、水産業者(加工・飲食提供等の事業は対象可)
加えて、業種別に定められた従業員数基準を満たす必要があります。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時5人以下
- 宿泊業・娯楽業、製造業その他:常時20人以下
(補助事業終了までこの基準を満たすことが必要)
主な対象外事業者
以下の事業者は補助対象外となります。
- 協同組合(企業組合・協業組合を除く)、一般社団法人・公益社団法人、一般財団法人・公益財団法人、医療法人、宗教法人、学校法人、農事組合法人、社会福祉法人
- ただし、医師・歯科医師・助産師などの個人事業は対象になり得ます。
- 任意団体、創業予定者(申請時点で開業していない者)
- 資本金または出資金が5億円以上の法人に100%株式を保有されている法人(直接・間接を問わず)
- 直近3年間の課税所得年平均額が15億円を超える法人
- 過去の小規模事業者持続化補助金(一般型・コロナ特別対応型・低感染リスク型ビジネス枠)等で採択され、所定の報告書を未提出の事業者
3. 補助対象経費と補助額
補助額・補助率
- 補助率:原則 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は 3/4)
- 補助上限額
- 基本上限:50万円
- インボイス特例:+50万円
- 賃金引上げ特例:+150万円(赤字事業者は補助率引上げ)
- 両特例該当の場合:最大+200万円
補助対象となる主な経費
補助対象は、補助事業期間中に発注・支払・使用が完了し、かつ補助事業計画に基づく販路開拓等(業務効率化含む)の取組に要する経費に限られます。主な対象は以下の通りです。
- 機械装置等費
- 広報費(広告掲載、印刷物作成等)
- ウェブサイト関連費(制作、システム構築等)
- 注意事項があるので、後述の「注意点」をご確認ください。
- 展示会等出展費(オンライン商談会含む)
- 旅費(販路開拓等に直接関連する場合)
- 新商品開発費
- 借料
- 委託・外注費
補助対象外となる主な経費
以下のような経費は補助対象外です。
- 補助事業期間外に発注・支払・使用したもの
- 実際に活用せずに終了した設備やサービス(例:機械を購入したが未使用、広告契約はしたが掲載が補助事業終了後など)
- 業務に直接関係しない経費
- 支払い方法が銀行振込等以外で行われたもの
- 経費の支払いは「銀行振込」が大原則です。1取引10万円(税抜)を超える現金支払いは不可であり、相殺・小切手・手形による支払いも認められません。クレジットカード払いは事業者名義で行い、事業期間内に引落しが完了する場合のみ対象となります。振込手数料・代引手数料・ネットバンキング利用料、商品券・ポイント決済等は対象外です。
注意点
- 補助事業終了までに、発注・納品・支払・使用を完了し、実績報告で証明する必要があります
- 単価50万円(税抜)以上の機械装置、外注ウェブサイト、不動産効用増加改装等は「処分制限財産」に該当し、処分制限期間中は承認なしに譲渡・廃棄等できません。承認を受けた場合も補助金の一部返還が生じる可能性があります。なお、ウェブサイトの目的内の機能強化などは処分に当たりません。
- ウェブサイト関連費は「交付申請額の1/4(最大50万円)」が上限です。また、ウェブサイト関連費のみでの申請は認められません。他の経費区分と組み合わせて申請する必要があります。
- 課税事業者は、消費税相当額を補助対象経費に含められません
- 補助金交付決定通知書の受領前に契約・支出した経費は対象外です
4. 公募スケジュール
本補助金は、年度内に複数回の公募・採択が行われます。申請受付の開始時期、締切日、交付決定日は枠や年度ごとに異なります。
直近の公募スケジュールは以下のとおりです。
第18回公募:
2025年10月3日(金)~2025年11月28日(金) 17時
※事業支援計画書(様式4)発行の受付締切:2025年11月18日(火)
大まかなスケジュール
- 公募開始
事務局ホームページで公募要領とともに募集が開始されます。
例年、年度内に複数回実施され、最初の公募は春頃から初夏にかけて始まることが多いです。 - 申請受付期間
公募開始からおおむね1〜2か月間が申請受付期間です。
申請は原則 電子申請システム(jGrants) によりのみ受け付けられます。郵送による申請はできません。 - 事業支援計画書(様式4)発行の受付締切
申請締切よりも早い日程(おおむね10日前)に設定されています。
この日以降は発行依頼ができないため、商工会・商工会議所への依頼は早めに行う必要があります。
※詳細は「7. 申請の流れ」で説明します。 - 審査・採択発表
申請締切から1〜2か月後に、採択事業者が事務局ホームページで公表されます。 - 交付申請・事業開始
採択発表後、原則2か月以内に交付申請を行い、承認後に事業を開始します。 - 事業実施期間
交付決定からおおむね6〜10か月間が実施期間です。
年度をまたぐ場合もあります。 - 実績報告・補助金請求
事業完了後、実績報告書を提出し、確定検査を経て補助金が支払われます。
補助事業終了後1年後には、効果報告の提出が求められます。
過去の実施回数(参考)
本制度は2013年度から継続的に実施されており、一般型・特別枠を含め年複数回の公募を行うサイクルが定着しています。
過去には年間で3〜5回程度の募集が行われた年度もあり、申請機会は比較的多い傾向にあります。
スケジュール確認のポイント
- 事業支援計画書(様式4)発行の受付締切は申請締切より早いため、逆算して準備すること
- 申請は電子申請のみ(郵送不可)
- 採択後の見積書提出期限や事業実施期間の上限にも注意
- 最新情報は必ず事務局ホームページの公募要領で確認すること
今後の実施見込み
今後も年度内に複数回の公募が行われる見込みです。
公募開始から申請締切までの期間は短めなため、あらかじめ経営計画や見積書、必要書類の準備を進めておくことで申請チャンスを逃さず活用できます。
5. 申請要件
必須要件
申請するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 商工会または商工会議所による事業支援計画書(様式4)の発行を受けていること
- 補助事業終了時点で補助対象者の要件を満たしていること(従業員数など)
- 補助対象者の基本条件は「2. 補助対象となる事業者」で説明した通りです。
- 補助事業計画が、公募要領に定める「販路開拓等(業務効率化含む)」の取組に該当すること
- 申請内容が法令や公序良俗に反しないこと(性風俗関連特殊営業や公的支援に不適当とされる事業は対象外)
加点要件
審査において有利となる加点が適用される場合があります。主な加点項目は以下の通りです。加点項目は「重点政策加点」と「政策加点」からそれぞれ1種類まで選択でき、最大で2種類の加点を受けられます。
【重点政策加点】
- 赤字賃上げ加点
賃金引上げ特例の対象で、かつ直近の課税所得がゼロ以下である事業者。 - 事業環境変化加点
ウクライナ情勢や原油価格、LP ガス価格等の高騰、米国による相互関税の影響を受けている事業者 - 東日本大震災加点
福島12市町村に所在する事業者、または太平洋沿岸部(北海道・東北・関東の一部)の水産仲買業・水産加工業者で、風評影響克服に向けた取組を行う事業者。 - くるみん・えるぼし加点
次世代法に基づく「くるみん認定」または女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者。
【政策加点】
- 賃金引上げ加点
最低賃金の引上げに加えて、更なる賃上げを行う事業者。 - 経営力向上計画加点
各受付締切回の基準日までに、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事業者 - 過疎地域加点
「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展につながる取組を行う事業者。 - 一般事業主行動計画策定加点
女性活躍推進法または次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者(従業員100人以下)。 - 後継者支援加点
後継者承継関連の支援枠に該当する事業者。 - 小規模事業者卒業加点
補助事業終了時点で常時使用する従業員数が、小規模事業者の定義を超える規模に拡大している事業者。 - 他
特例要件
インボイス特例
- 補助事業終了時点で「適格請求書発行事業者」の登録を受けていること
- かつ、以下のいずれかに該当すること
① 2021年9月30日〜2023年9月30日の課税期間で一度でも免税事業者であった
② 2023年10月1日以降に創業した事業者
賃金引上げ特例
- 補助事業終了時点で事業場内最低賃金が申請時より+50円以上であること
- 従業員がいない事業者は対象外
賃金引上げ特例(赤字事業者)
- 上記の賃金引上げ特例を満たし、かつ直近の課税所得がゼロ以下であること
- 所得金額の確認書類(法人税申告書別表一・別表四または確定申告書第一表)を提出する
両特例の併用
インボイス特例と賃金引上げ特例の両方の要件をすべて満たす必要があり、どちらかが欠ける場合は全体の補助金交付が行われません
6. 事業計画書作成のポイント
事業計画書は、採択の可否や補助金額に直結する最重要書類です。
ここでは、本制度ならではの重点ポイントに絞って解説します。
補助金申請に必要な事業計画書の書き方の基本が知りたい方は、こちらもご覧ください↓
ポイントの概要
商工会・商工会議所の支援を受けつつ、自社の現状や課題、取り組むべき施策を明確に示すことが求められます。
- 根拠と整合性:市場データや過去の実績に基づき、計画の裏付けを明確にする
- 課題と解決策の一貫性:現状の課題→解決策→成果の流れが矛盾なくつながっていること
- 成果の具体性:数値目標(売上増加額、来客数、作業時間削減率など)を設定する
- 補助対象経費との対応付け:計画内の施策と補助対象経費が明確に結び付いていること
- 採点基準を意識:加点要件(例:賃金引上げなど)や特例要件を反映する
事業計画書チェックリスト(簡易診断用)
以下の項目を満たしているか確認しましょう。
- 自社の概要(業種・規模・沿革)が簡潔にまとめられている
- 現状の経営課題が具体的なデータや事実に基づき記載されている
- 解決策(販路開拓や業務効率化)の内容が明確で実現可能性がある
- 成果目標が定量的に示されている(例:売上10%増、作業時間20%削減)
- 実施スケジュールが現実的で、補助事業期間内に完了可能
- 必要な経費が根拠とともに示され、補助対象経費に該当する
- 加点要件・特例要件があれば計画内に明記している
- 商工会・商工会議所の助言が反映されている
※助言は、事業支援計画書(様式4)発行依頼時の面談で受けるのが基本です。依頼前に計画書を作り込み、面談で最終ブラッシュアップすると効果的です。 - 法令や公序良俗に反しない計画である
7. 申請の流れ
ステップ1 事前準備
- GビズIDプライムアカウント取得
電子申請(jGrants)を利用するために必須です。未取得の場合は早めに申請してください。 - 公募要領の確認
申請条件、補助対象経費、必要書類、スケジュールを確認します。
ステップ2 申請書類の作成
- 経営計画(様式2)と補助事業計画(様式3)を作成します。
- 補助対象経費の見積書等を取得し、計画と紐付けます。
- 経費の価格妥当性を証明する書類(見積書等経費根拠資料(相見積を含む))は、申請時に提出しなければならない書類ではなく、採択発表後、交付決定までに提出する書類です。
実務上は、商工会・商工会議所での事業計画確認をスムーズにするため、申請準備段階から概算見積りを揃えておくことが強く推奨されます。
- 経費の価格妥当性を証明する書類(見積書等経費根拠資料(相見積を含む))は、申請時に提出しなければならない書類ではなく、採択発表後、交付決定までに提出する書類です。
- 加点要件・特例要件に該当する場合は、根拠資料を揃えます。
申請書類
申請時に提出が必須の書類
- 経営計画書(様式2)
事業全体の概要・現状分析・経営課題・今後の方針を記載。 - 補助事業計画書(様式3)
補助事業の具体的な取組内容・経費の使途・スケジュールを記載。 - 事業支援計画書(様式4)
商工会・商工会議所発行。申請締切の約10日前が発行依頼の最終期限。 - 法人登記簿謄本(法人の場合) または 開業届(個人事業主の場合)
- 加点要件・特例要件に関する証明書類(該当者のみ)
該当する場合のみ提出する書類(申請時)
- 賃金引上げ特例関連書類
賃金台帳、雇用契約書・労働条件通知書など。 - 赤字賃上げ特例関連書類
法人税申告書(別表一・別表四)または確定申告書第一表。 - インボイス特例関連書類
適格請求書発行事業者の登録通知書。 - 経営力向上計画加点関連書類
「経営力向上計画」の認定書(必ず基準日までに認定を受けていること) - 事業承継関連加点用書類
事業承継診断票(様式10)、代表者の生年月日確認書類、後継者候補確認書類。 - 地域要件加点関連書類
所在地が該当地域であることを証明する資料。
ステップ3 商工会・商工会議所への「事業支援計画書(様式4)」発行依頼
- 電子申請システムに入力した経営計画(様式2)・補助事業計画(様式3)を印刷し、添付書類と併せて地域の商工会・商工会議所に持参します。
- 事前相談を推奨:様式4発行依頼の前に、計画案を持ち込んで助言を受けることで、不備や加点要件の見落としを防ぎ、発行がスムーズになります。
- 正式な発行依頼時には、面談で事業計画内容・提出書類の過不足・特例要件の充足状況などを確認されます。
- 発行受付締切は申請締切より早く(おおむね10日前)設定されています。この日を過ぎると依頼不可です。
- 商工会地区は窓口訪問の上で発行を受け、商工会議所地区はPDFを取得して電子申請システムにアップロードします。
- ※訪問は事前連絡が推奨されます。
ステップ4 申請書類の提出
- 電子申請(jGrants)で申請書一式を提出します。
- 受付締切時間厳守(通常は17:00)です(郵送不可)。
ステップ5 審査・採択
- 申請締切から1〜2か月後、採択結果が事務局ホームページで公表されます。
- 採択通知書が送付されます。
ステップ6 交付申請・事業開始
- 採択発表後、原則2か月以内に交付申請を行います。
- この際、経費の価格の妥当性を証明する見積書等(相見積含む)を提出します。
- 実務上は、申請準備段階から概算見積りを揃えておくことで、商工会・商工会議所での計画確認がスムーズになります。
- 100万円(税込)を超える経費は2者以上の相見積りが必要です。また、中古品の取得(50万円(税抜)未満の場合を除く)については、金額に関わらず2者以上の見積が必要です。
- 交付決定通知書の交付決定日以降に事業を開始できます。
ステップ7 事業実施
- 補助対象経費について、発注・納品・支払・使用を補助事業期間内に完了します。
- 単価50万円以上の財産は処分制限に注意します。
ステップ8 実績報告・補助金請求
- 事業完了後、実績報告書と経理書類を提出します。
- 確定検査後、補助金が交付されます。
- 補助事業終了後1年後に効果報告書を提出します。
8. 採択の傾向とポイント
採択率の推移
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)の採択率は回ごとに変動しますが、近年は50〜70%前後で推移しています。
- 募集回によって応募件数や予算配分が異なるため、採択率には幅があります。
- 特例要件や加点要件を活用した申請は、採択率が相対的に高くなる傾向があります。
採択されやすい申請の特徴
公募要領の「審査の観点」に沿って作成された申請書は評価が高くなります。特に以下の特徴があります。
- 経営課題と取組内容が一貫しており、具体的な数値目標が設定されている
- 補助事業終了後も効果が持続する計画になっている
- 補助対象経費と計画内容の対応関係が明確である
- 事業者自らの検討内容が反映され、第三者任せの計画ではない
採択率に影響する要因
- 加点要件の有無
賃金引上げ特例、赤字賃上げ特例、地域要件、事業承継関連などの加点があると有利。 - 計画の実現可能性
無理のないスケジュール・予算配分になっているか。 - 経費の妥当性の説明
申請書の段階で、計上した経費が補助事業に直接必要であり、価格が妥当であることを説明できているか。 - 書類の不備や記載不足の有無
審査は非公開・書面審査のみでヒアリングはないため、不備は即減点対象。
採択率を高めるためのポイント
- 審査観点に沿った記載
公募要領にある採点基準を意識して構成。 - 数値的根拠の明示
売上増加率、来客数増加、作業時間削減など具体的な指標を設定。 - 加点要件・特例要件の活用
該当する要件は漏れなく申請し、証明書類を添付。 - 商工会・商工会議所との早期連携
様式4発行依頼前にも事前相談を行い、計画をブラッシュアップ。 - 経費の合理性の確保
事業内容と直接結びつく経費のみ計上し、必要性と妥当性を説明できる状態にしておく。
9. 採択後の流れと義務
採択後の流れ
- 交付申請
採択発表後、原則2か月以内に交付申請を行います。
この際、経費の価格妥当性を証明できる見積書等(相見積含む)を提出します。
交付決定通知書に記載の交付決定日以降に事業を開始できます。 - 事業実施
補助対象経費の発注・納品・支払・使用を、交付決定後から補助事業期間終了までに完了します。 - 実績報告
事業終了後、実績報告書(交付規程様式第8)と経理書類を定められた期日までに提出します。
期限を過ぎると交付決定が取り消されます。不備があれば速やかに修正・再提出が必要です。 - 補助金交付
実績報告の審査・確定後、補助金が支払われます。 - 効果報告
補助事業終了から1年後、事業効果および賃金引上げ等状況報告を提出します。
採択後の義務
- 報告義務
効果報告のほか、事務局からのアンケート調査等に協力する必要があります。 - 処分制限
単価50万円(税抜)以上の機械装置、自社Webサイト外注、不動産効用増加等は「処分制限財産」に該当します。補助事業終了後も一定期間、目的外使用・譲渡・担保提供・廃棄などが制限され、事前承認が必要です。 - 賃金引上げ未達成時の減点措置
賃金引上げ特例や加点を受けたにも関わらず要件未達の場合、正当な理由がない限り、報告から18か月間は中小企業庁管轄の他補助金で大幅減点されます。
10. 注意点
締切前にある「隠れた締切」に注意
- 事業支援計画書(様式4)の発行締切は申請締切の約10日前に設定されています。
この日を過ぎると発行依頼ができず、申請自体が不可能になります。 - 発行依頼には事業計画書の完成が必要なため、逆算して準備を進めましょう。
採択=補助金交付の確定ではない
- 採択後に行う交付申請で、経費の妥当性を証明する見積書等の提出が必要です。
- 交付決定前に事業を開始すると、その経費は補助対象外になります。
経費の対象・支払方法のルール
- 補助対象経費は公募要領に明記された区分に限られます。
- 現金払いは原則不可で、銀行振込等の証跡が残る方法が必要です。
加点・特例の要件未達成によるペナルティ
- 賃金引上げ特例や加点を受けたにもかかわらず、補助事業終了1年後の報告で要件未達の場合、正当な理由がない限り18か月間の減点措置があります。
報告義務の継続
- 加点・特例を活用しなかった場合でも、補助事業終了1年後の事業効果および賃金引上げ等状況報告は全員必須です。
- 単価50万円以上の財産は処分制限があり、期間中は譲渡・廃棄等に事前承認が必要です。
書類の不備・不足は即減点
- 審査は書面のみでヒアリングはありません。
- 書類の不備や記載不足は即減点につながるため、商工会・商工会議所との早期連携でチェックを受けることが重要です。
11. よくある質問(FAQ)
Q1. 採択されたら補助金は必ずもらえますか?
A. いいえ。採択後に行う交付申請で要件を満たさなかった場合や、事業実施・実績報告が適切でない場合は不交付となることがあります。
Q2. 事業支援計画書(様式4)の発行依頼はいつまでにすればいいですか?
A. 申請締切の約10日前が発行依頼の最終期限です。それまでに計画書を完成させ、商工会・商工会議所に依頼する必要があります。
Q3. 様式4の発行依頼は事前相談なしでもできますか?
A. 可能ですが、計画の不備や要件不足があれば再訪問が必要になります。事前相談で助言を受けてから正式依頼するのが安全です。
Q4. 見積書はいつ提出する必要がありますか?
A. 公募要領では交付申請時に必須とされています。ただし、申請準備段階から概算見積を揃えておくと様式4の発行や計画の精度向上に役立ちます。
Q5. 加点要件や特例を活用しない場合でも効果報告は必要ですか?
A. はい。補助事業終了1年後の「事業効果および賃金引上げ等状況報告」は全ての補助事業者が提出義務を負います。
Q6. 採択率はどのくらいですか?
A. 回ごとに変動しますが、近年は50〜70%前後です。加点要件や特例の活用、計画の具体性・一貫性が高いほど採択率は上がる傾向があります。
Q7. 採択後に経費の内容や金額を変更できますか?
A. 変更は可能ですが、事前に事務局の承認が必要です。無断変更は不交付や返還の対象になります。
Q8. 補助対象経費はどこまで認められますか?
A. 公募要領に定められた経費区分に該当し、事業計画と直接関連するものに限られます。現金払いは原則不可で、銀行振込等の証跡が必要です。
Q9. 補助事業終了後に設備を売却してもいいですか?
A. 単価50万円以上(税抜)の処分制限財産は、所定の期間中は目的外使用・譲渡・廃棄が制限され、事前承認が必要です。
Q10. 交付決定前に事業を始めても大丈夫ですか?
A. 交付決定日より前に発注・契約・支払を行った経費は補助対象外になります。必ず交付決定後に着手してください。
12. まとめ
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)は、小規模事業者や個人事業主の販路開拓や業務効率化を支援する制度です。
採択のカギは、課題と解決策を明確化し、効果を数値で示すこと、そして様式4発行締切を含むスケジュール管理です。
利用したいと思ったら、すぐに次の行動に移りましょう!
- 公募要領とスケジュールを確認
- GビズIDプライムの申請
- 事業計画のたたき台作成と商工会・商工会議所への早期相談
本制度は年複数回の公募が行われますが、「準備の早さ」こそが採択率と実行のスムーズさを左右します。
今このタイミングから行動を始めて、次回公募での採択を確実なものにしましょう。
当事務所では、本制度の活用に向けた事業計画書作成支援や申請サポートを行っています。
初回相談は無料ですので、
- 制度の詳細を知りたい方
- 自社が申請対象になるか確認したい方
- 事業計画書や必要書類の準備に不安がある方
はお気軽にお問い合わせください。
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本記事の執筆者
朝倉とやまコンサルティング事務所の代表・朝倉傑が本記事を執筆しました。
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